「いぶき宿」通信 No.8(2016.2)

「夢見るかぼーちゃん」デビュー

いぶき宿通信8-1

大 河原さんとの出会いではじまった福島での有機農業者との恊働。それは、核事故(福島第一原発事故)によって激しく脅かされた「いのち」ヘの危機感から、 「いのち」の源を紡ぎだす自然の「いのち」、大地の「いのち」、大海原の「いのち」へのおもいから顔の見える関わりを求め、何十年、否、何百年、いつまで かかるか知れない、核分裂により破壊された大自然を取り戻すささやかな歩みの始まりでした。人が驕り高ぶり自然を支配しようとして引き起こした取り返すこ とが不可能に近い事故。一挙に消費者は「福島産」という文字をみるだけで、敬遠するようになり、その向こうにある生産者の方々の「いのち」が脅かされたの です。絶望のなかで自らいのちを絶った人、精神的なダメージから立ち直れずに豊かないのちを生きられなくなった人、希望をもぎ取られた、その苦悩は計り知 れないものです。経験した人でなければ分らないとは思うのですが、想像を働かせて理解しようと努めてきました。

そんな中で、「金糸かぼ ちゃ」(そうめんかぼちゃ)の種を植え、定植し、収穫させてもらい大河原さんと一緒に育てた「金糸かぼちゃ」でした。野菜として食べること以外、お菓子に する発想はなかった「金糸かぼちゃ」にお菓子としてデビューしてもらうことを夢みてのはじめてプロジェクトでした。

品川区にある清泉女子大 学は品川区と連携・協力に関する包括協定を結んでいます。NPO法人「みんなの食育」は品川区との恊働事業として「こみぷら八潮喫茶コーナー」「みんなの 食育元気食堂」を運営し、元気食堂フェアトレードを企画しています。女子大生とNPOが恊働で食品開発をして「社会貢献活動しながわ」で「夢見るかぼー ちゃん」を販売することになったのです。「夢みるかぼーちゃん」のネーミングは学生です。一緒にミーティングをしていて、「こういう名前は私たちの年代で はでてこないわね」というと、あっさり「そうですね」と。爆笑でした。江戸の品川宿「しながわ」にもかつて「しながわ」で作られていた野菜があったのです が、今は絶滅危惧種の様相を呈しています。それを復活させ、地元の野菜を使って食育をと、「みんなの食育」は考えておられ、地元産の食材を使う中に復興支 援として私たちの「金糸かぼちゃ」も使ってくださることになりました。私たちの夢をかぼちゃに託しました。「夢見るかぼーちゃん」がきっと福島の夢を人々 に発信してくれることを確信しています。

2月13日(土)14日(日)は品川区大井町のイベントホールで「ゆたかな暮し つながる地域2016 品川区消費生活・社会貢献活動展」が開催されました。いぶき宿通信8-2

土 曜日に59団体、日曜日に51団体と品川区内で活動している団体が一同に介してそれぞれの活動紹介と横の繋がりを持ったのです。40年以上の歴史をもつ 「消費生活展」と8年目の「社会貢献活動展」が今年から1つのイベントとして繋がりを密にスタートしたのです。さまざまな活動体がお互い顔を合わせて品川 区という地域に住民への貢献という歩を出すその波が波紋となって日本中にそして、世界につながって行くことを「夢見ているかぼーちゃん」です。区長さんの 挨拶があり、清泉女子大のチアグループのプレゼンでオープニングが盛り上がり、チアガールズから区長さんに「フェアトレード」(昨年のイベントではこれを 販売)バレンタインチョコレートを差し上げるというサプライズもありました。

区長さんも「夢見るかぼーちゃん」のブースに立ち寄ってお買い求めくださいました。いぶき宿通信8-3

どのくらい売れるか心配していた心配をよそに販売開始から2時間弱でマドレーヌ50個、饅頭50個は完売でした。いぶき宿通信8-4

地域の中で学生たちが育てられていることを実感しました。そして、地域の皆様の被災地、そして福島への想いも強く感じられました。岩手県田老のわかめ、こんぶ。福島のお米「金のつぶ」もそれぞれの支援グループによって並べられ販売されていました。


 

忘れていません!!

「東日本大震災5年目を迎えて」〜福島に生きる〜

震災から5年目忘れていない!核の脅威は決して収束していない現実いぶき宿通信8-5

ル ワンダの内戦から逃れて来た福島在住のマリールイーズさんの講演会が高輪教会「被災地支援の会」主催で1月31日に行われました。定期的に講演会を開催 し、福島の野菜を購入し、被災地(岩手、宮城、福島)へ足を運び、人々とふれあう中で、自らの在り方を常に自問しておられる教会の人達の関わりが私たちの 心の灯火を燃やし続けています。福島の農家で草引きをして「金糸かぼちゃ」の畑も見てくださった信者さんに私たちも励まされています。

今回のマリールイーズさんは、私たちと恊働している大河原さんと家族ぐるみのおつきあいのある方です。大河原伸さんの夢はルワンダでの有機農業支援です。そんな夢を核事故は遠くの方へ追いやってしまいました。が、夢は大切に今も心に秘めておられます。

内 戦のときのルワンダの状況をはじめて生の声として聴きました。そして、ルワンダの7〜80%がキリスト者だということも、その6〜70%がカトリック者だ ということも。いつ殺されるかわからない中、故郷をおわれることの辛さ、アイデンティティを根こぎにされることがどんなことであるか身をもって体験してい るマリーさんだからこそ、故郷を奪われた福島の人達の心がいたい程分るのだと知りました。また、今世界中で故郷をおわれ、明日のいのちがわからない、希望 を剥奪されて行く人々の現実が身を切られるような痛みとして感じとられていることがひしひし伝わってきた講演会でした。


2016 年はきな臭い危機感を煽るような始まりです。着々と原発の再稼働が我が物顔に歩を進め、信じられない状況です。それでも希望を失わずに「核」に対峙し、 「いのち」を大切に、生きとし生けるものへのいつくしみと憐れみを深め続けるには豊かな感性と想像力、創造力を問われているようです。今年もどうぞ宜しく お願い致します。「夢見るかぼーちゃん」も宜しく!冬場は地元での活動です。    (野上幸恵)