「いぶき宿」通信 No.3

6月25日(木)26日(金)、品川をミニバスで出発し福島へ向いました。

何度、福島に足を運んでも、毎回新たな気持ちになり、心が引き締まる思いです。

大河原さんご夫妻はどうされているでしょうか? 先月定植した苗、蒔いた種はどんな状況になっているでしょうか? 心躍ると同時に、自然の厳しさ、また、何も分らない素人が植えただけに苗はちゃんと根をはっているでしょうか??? 不安が混じった車中でした。

「えすぺり」に到着したのは、お昼少し前、「えすぺり」の定休日に私達の作業を入れてくださっているので、定休日の看板をみながら、お店に入っていくのは、何か貸し切りのお客さんみたいな感じです。

朝 採りの野菜たっぷりの多津子さんの昼食は、お野菜の持ち味を損なわない、そのものの「いのち」をいただいている感じのする、心がほっと休まる優しいお食事 です。ズッキーニーを生で、サラダ感覚でいただいたのは、はじめてでした。それも「三・五・八」という地元の米塩麹(それだけで十分のうまみがありま す!)で浅漬けにしたものの美味しさに新鮮な驚きを隠せませんでした。家に帰ったら、真似してつくってみるゾ!と思ったのは私だけではなかったようです。 女性はみんな同じことを考えていたようです。

昼食の間、大河原さんご夫妻も交えて(お食事はいつもご夫妻とご一緒です)金糸かぼちゃの今後について話に花が咲き、夢が語られ(捕らぬ狸に皮算用???)ほのぼのとした会食です。

1時すぎに、畑に向いました。「かぼちゃ小屋」で着替える人、作業の支度をして、皆写真のようなりっぱな農作業人の出で立ちで畑へ。

身支度して畑へ

身支度して畑へ

先 ず、向ったのは先月定植した「金糸かぼちゃ」の畑。昼食時にご夫妻から、定植後に強風に巻き上げられて、120本植えたうちの多くが根を倒されたり、根こ ぎにされたりして残ったのは70本ほどとの話を聞いていたので覚悟は出来ていましたが、現実を目にして心が痛みました。真っ先に尋ねたのは、『私達の根に かける土のかけ方、根の押さえ方がわるかったんではないですか?』ということでした。

ご夫妻にご迷惑をかけているのではないか、余分な仕事をつくっているのではないかとの心配がいつもあります。でも、「そんなことはないし、助かっている。心にかけて応援してもらっていることが本当にうれしい」と言ってくださる言葉に背中を押されて毎月作業に来ています。

根こぎになっている

根こぎになっている

大風にやられて歯抜けの糸カボチャ

歯抜けになった苗

実をつけている!

実をつけている!

 

健気にも強風に負けずに実を付けている、糸かぼちゃを目に、感激し大きくな〜〜れ!と声援を送りました。

ミニかぼちゃの畑の草引きをしたのですが、奥さんがひと畝抜かれる間に、私達は4人でひと畝。この違い! 草を引いたあとにわらを引きつめていくのです。

わら敷き

わら敷き

草引き 

草引き

 

 

 

 

 

 

 

 

大河原さんご夫妻は、牛を飼っておられます。

牛糞、鶏糞は畑の肥料とし、それによって育つ稲藁、草を飼料とする循環型の有機農業を地元でしていくためです。そんな牛に6日ほど前に子牛が生まれました。

母牛が子牛に乳を飲むように促す方法を、はじめて聞き、それを目のあたりにしてとても神秘を感じました。

誕生6日目?

そんな牛たちと大河原さんご夫妻は別れる日が遠くないことを聞きました。

原 発事故前は、この牛さんたちは田圃の干し草、畑の草を食んでのんびりと過ごしていました。しかし、原発事故で汚染された後に、そのようにのんびりと草を食 むことはままならないと……飼料は外国から購入、牛にしてみれば食べなれた味から、知らない味と栄養分の草を与えられて……ストレスがたまっていたのか、 何が原因なのか、大河原さんの牛は子どもを無事に出産することがなかったとのことです。

自力で出産できなく子牛が窒息死したりと、この子が 震災後はじめての子牛だったのです。ひとしお、いとおしい子牛だと思います。しかし、自然の中で有機農業を営んで行くのは厳しいです。感傷に浸っていては 成り立ちません。牛さんたちは売られていきます。大河原さんは牛を諦め、羊に切り替えられます。

あと何回か訪ねる間に、ここから牛たちがいなくなるのです。

この話しを聞きながら、霊山(飯舘村に隣接する村で、避難区域にはならなかったものの、かなり放射線量の高かった地域)でジャージー牛の放牧をしておられた方を思い出していました。じっと見つめていた牛たちのつぶらな瞳を。

放 牧が不可能になり、やはり外国からの飼料に頼り、牛舎に年中つないでおかなければならなくなった牛たちの姿。そして、春の草のかおりに外に出たいと泣き続 け、ついに出してもらえないことを体得し、牛舎で立てなくなった牛の姿。牧場主のことば「放牧できる可能性があるのだろうか?」「必ず、立ち向かえない大 きな壁にぶつかる時がくる。そのとき、自分はどうするのだろうか?」彼の眼に潜む底知れぬ不安が、この子牛と大河原さんが牛を手放される話を聞いて甦って きました。

26日の朝一番に「葛尾村役場」(仮設)で社会教育係長にお会いして、仮設での「アロマハンドトリートメント」提供の可能性について話し、仮設住民の方々の必要性を伺いました。

葛 尾村は双葉郡葛尾村で、2012年の時点では村の中には警戒区域、計画的避難区域がありました。2013年には帰還困難区域、居住制限区域、避難解除準備 区域となり、昨年2014年10月の時点でも帰還困難区域、居住制限区域、避難解除区域に別れていて、まだ避難解除がされていません。さくら湖(三春の滝 桜の近く)の周りには葛尾村からの避難者のための仮設住宅が10ほどあります。その何れでも、必要性があるのです。みなさん5年目の避難生活を仮設住宅で 送っておられます。集会室に案内してくださり、そこに集っておられた皆様の暖かいウエルカムを受けました。その日は社交ダンスの集まりだったようです。

F 教会の皆様が、アロマハンドトリートメントの方法を学ばれて早速、南相馬でのボランティア活動に取り入れられたそうです。男性の参加が多く、ボランティア さんたちはびっくりされ、同時に、当時の話しをされて、汗と涙で一杯になったとのコメントを送ってくださいました。出会い、心がふっと開かれていく優しさ が植物の持つ力と人の触れ合いが引き出してくれるのでしょうか。うれしいことです。

私達の次回7月の活動は、25日(土)26日(日)の一泊二日です。

 8月は29日(土)30日(日)に予定しています。

教皇フランシスコが回勅「ラウダート・シ」をお出しになりました。ゆっくりと祈りたい回勅です。『いぶき宿』はこの回勅を糧としていきたいと思います。

(野上幸恵 記)