「いぶき宿通信」No.24

「一般社団法人(非営利)いぶき宿(じゅく)」通信2018 No.24 2018.2

「原発から這い上がる!」有機農業  −講演と人形劇—

2月4日の日曜日午後2時から、聖心侍女修道会、社会司牧チーム主催の講演会がありました。修道会としても福島支援の一つとして関わってきている有機農業、「えすぺり」の大河原さんご夫妻をお招きして、福島原発(核)事故の語り部としてお二人が取り組んでおられる人形劇も上演していただきました。
大河原多津子さんはご結婚される前から人形劇を学び一人芝居をしておられたのですが、有機農業に憧れ、1985年に有機農業を営んでいた、何代も続く農家の長男大河原伸さんと結婚されてからは、お二人で特に農閑期に人形劇を様々なところで演じておられます。
演目は、いのち、自然、人と人、人と自然との関わりに関するものです。2011年3月の東日本大震災でご自分たちの土地も核事故の被害を受けてからは、語り部として、震災前、被災後、そして未来の生活を3部作の人形劇として脚本を書き、人形を、舞台をすべて手作りで上演しておられます。この3部作を演じていただきました。第一部「過去」第二部「現在」第三部「未来」の合間は、伸さん自作の歌が2曲ずつ歌われました。伸さんは核事故被災時の気持ち、思いのたけを詩に託して歌われました。切ない、やるせない思い、持って行き場のない哀しさ、そして、福島から遠くにいるものの冷ややかさがビシビシと伝わってくるものでした。

① 第一部:過去「パツー」
(トイレはない、パツーのうんこは?)
怪物の「パツー」が、貧しい森の住民においしいキャンディ『おじぇおじぇ』を提供。おじぇをほしがる狸と「何の目的でパツーはやってきたか。ない・・・

②       ③

第二部:現在「太郎と花子の物語」
原木シイタケ農家に起きた悲しみ

④(ねがいは原発のない空)

今より、少しでもいい社会を残すために・・・何をしたらいいんだろうか?

第三部:未来「ソラライズ」
資源のない国ニッポン、核エネルギーを受け入れ、レベル7の事故を起こし、もの、自然、心を破壊された福島の象徴フークン・・・

⑤   ⑥

太陽や風、雨に教えられ、慰められ、再生していく。
自分たちが生まれ育った所は美しい!
自分で産み出した「エネルギ—」は自分たちのもの、大切な故郷、

⑦    ⑧       ⑨ かけがえのない自然の中で未来のあるべき姿を・・・

 

⑩(歌に救われた!)

「正義の味方はどこにいる・・・」

「なみだ〜が、ぽた〜り、ぽた〜り・・・」

心に、滲み訴える   切なく、哀しい・・・

⑪ 福島の方に持って行っていただくものをふくめ、開演前には「アロマルームスプレー」作りもしました。アロマの力がストレスを癒してくれることを願って2012年から毎月欠かさず送ってくださっているボランティアYさんが来てくださっていたのです。共にスプレーをつくる大河原さん親子の微笑ましい姿が、会場設定前の一時にみられました

⑫ 大河原さんご夫妻は丁度1年前2017年2月に「原発から這い上がる!有機農業ときどき人形劇」を出版されました。そこには、大地を愛し、いのちを愛し、いのちの糧となる安全安心な食べ物をつくり続けて来られたご夫妻のプライド、自然との共存の中で自然の中のひとつの命として共存して来られた大切な生活がズタズタにされた苦悩と怒りが実際の背丈で語られています。人形劇の第一部「現在」の脚本「太郎と花子のものがたり」も載っています。
「思いたっちゃんたら吉日」は福島で5人のこどもを育ててこられた多津子さんが、ニュースを通して多くのこどもの問題、親子のすれ違いなどを知り、ご自分の体験が何かの役にたてばと、失敗も含めて孫に語りかけるように「生きる」ことを「人生」を問いかける一つのヒントとして正直にご自分自身の越しかた、見据えている先を書かれたものです。その最後に、人形劇の「過去」「未来」のシナリオが載っています。
「シナリオをつかわせてもらってもいいですか?」との会場からの質問に「どうぞ、どのようにでも使ってください」との寛大がオファーがありました。福島の原発(核)災害の現場での生き方の一つとして多くの人々に伝わり「いのち」を愛おしんでおられる優しさがしみわたることを願っています。

幸せになるための「福島差別」論

2018年1月5日に上記の本が「かもかわ出版」から出されました。その出版記念シンポジウムが1月29日に毎日メディアホールでありました。
本の執筆者は池田加代子、清水修二、開沼博、野口邦和、児玉一八、松本春の、安斎育郎、小波秀雄、一ノ瀬正樹、早野龍五、大森真、番場さち子、越智小枝、前田正治各氏14人。『どっちの味方だ』という問いでなく、「先入観を排除し事実に基づいて事柄を扱う」「被害者の人権の回復をめざす」ことをめざしている人達です。


1. それぞれの判断と選択をお互いに尊重する

2. 科学的な議論の土俵を共有するめざすのは、

                福島の人たちの「しあわせ」

の文字の帯がしめられています。
「放射能災害からの復興とは何か、それは、『災害によって奪われた憲法上の人権を、
1つひとつ回復していくこと』、いうところの人間の復興にほかなりません。そして『差別されずに生きること』を、私は日本国憲法第13条の『幸福を追求する権利』の一つに数えています。避難者の帰還が実現しても、要求通りの賠償がなされても、廃炉や除染が順調に進んでも、被災者に対する差別が続くかぎり『人間の復興』は成就されたとは言えません。」(上記本p.242-243参照)

 

あの日から7年です。忘却のかなたへ薄れ行く、忘れてはいけないことを繋ぎ止め、思いをつないでいくささやかな歩みを・・・