「いぶき宿」通信 No.7(ツアー9回)(2015.12)

Merry Christmas & Happy New Year !

北欧のクリスマスデコレーション/知人の自作

北欧のクリスマスデコレーション/知人の自作

11月27日、28日に福島での活動に行ってきました。

27 日の午後には、葛尾村に近い船引町で「エゴマ」の有機栽培、「エゴマ油の搾油」をしておられるWさんご夫妻をお訪ねしました。テレビで話題になってから、 払拭するほどのブームになっている「えごま」の栽培、収穫、そして、搾油するまでの過程の実に大変な作業を伺いました。

そして、夕方には宿舎に入り、5時から(勤務時間が終わってから)全村避難の葛尾村の役場(以前にも通信に書きましたが、役場も一緒に仮設団地の中に仮設の役場として避難してきています)の職員さんたちの希望者に「アロマハンドトリートメント」をしてきました。
仮設団地には、このようなボランティアが入ったとしても、職員さんたちは遠慮・・・?!
被災しながらの役場の仕事は、ストレスの多い、さまざまな意味での板挟みになったりと、大変な状況は想像に難くありませんでした。
勤務時間外での役場でのボランティアは本当に意味あるものだったと実感しました。
本当に疲れておられたのでしょう!ハンドトリートメントを受けながら、ふ〜〜っと眠りに入っていかれた方もありました。
この時も、あらためて福島は終わっていないことを実感しました。福島からの距離が広がるにつれ、きっと自らの想像力と問題の根幹をみつめる力が問われているように思いました。
福島と関東や東京の間のギャップの大きさは何に由来しているのだろうかと。

次の日は、「えすぺり」でのクリスマスの飾り付けの手伝いでした。

Hindeloopen L’atlier SabotをされているSさんがご自分で絵付けをされたクリスマス・グッズや、北欧、イギリス等で求められたクリスマス・デコレーションを使ってお店を飾 られるお手伝いでした。この度も「えすぺり」のこのスペースを本当にさまざまな方がカルチャースペースとして使い、地域の人々との交流の場とされているこ とを実感しました。
日本全国から訪ねてくれる人、福島から自分たちの生き方を見直そうとして訪れるいろいろな国の人、そして原発事故後の人々の生き方を学びにくる若者と、こ のスペースは地球規模の学び場となっています。この時期に「えすぺり」を訪れる人、買い物に来てくれる人、そして、この地で必死に生きている人々が、今回 のクリスマス・デコレーションを通して自分たちとは違う文化との交わりを体験することになるのです。Sさんは、この飾りの説明を通して、その地での人々の 生活を話してくださるに違いありません。非常に豊かな出会いの場となること間違いなしです。


皆様の暖かいご支援と励ましをいただき「いぶき宿」の第一歩、福島の皆様と共に恵みに満ちた2015年の歩みを続けることができました。ありがとうございました。
先の見えない原発の問題との関わり、地球に住む生き物の一員として「いのち」の源に関わり続けていきたいと思っています。来年も宜しくお願い致します。皆 様お一人お一人の上に神さまの豊かなみ恵みをお祈りもうしあげます。どうぞ、恵みに満ちた新年をお迎えくださいますように。

(野上幸恵)


「いぶき宿」通信 No.6(ツアー8回)(2015.11)

10月30日(金)31日(土)、お天気を気にしながら曇り空の下、福島へ向いました。

今回は「えすぺり」での収穫祭。どんな収穫祭なのかこころわくわく、夢を募らせての旅路でした。
30日(金)には、真っ赤に色づいているりんごの木の下で、自分で“もいだ”りんごを買って帰る夢の林檎もぎ。一つ一つそっともいでいくにつれて、有機栽培、低農薬の栽培がどんなに大変なことなのかが、手に取るように、まさしく、手に取りながら体得した瞬間でした。
虫がよろこんで自らを成長させるに好都合な林檎たち。傷のないりんご、虫の足跡のない林檎を育てることの困難さ。見た目で判断する消費者。虫が触っていると商品にならない!!!
本当は一番安全で、美味しいのに・・・
そんなことを考えながら、学びながら、林檎と戯れ、有機栽培を実感した一時でした。

りんごガールズ

りんごガールズ

りんご園の次に向ったのは、いつまでも忘れることのできない、あの美味しかった『枝豆』、大豆引き。雨が少なかった大地は固く固まっていました。そんなところに健気にも大豆はふっくらと実らせ、さやを膨らませていました。
植えられたまま乾燥させて大豆にしていくとは思っていなかった!仲間もいました。刈り取るのではなく根から引き抜くのです。引き抜き方にもこつがありま す。89才のシスターが私たちの中では一番の大豆引き手でした。後から、大河原さんに、「シスターはちゃんと体で抜いていたけど、後の人は手で引っ張って いたから・・・」といわれ、「うん、やっぱり年季の入っている人は違う!」といたく感心しました。
慣れない大豆引き、皆さん腰は大丈夫だったでしょうか?

みんな必死で大豆と格闘

みんな必死で大豆と格闘

先回と同様、牛さんに挨拶。人懐っこい牛は言葉をかけると耳を傾け、「おいで、おいで」と呼ぶと近寄って来たと喜び、おそるおそる触った牛のつぶらな目に見せられて、そこから動けなくなったKさん。動物は人のやさしさが分るのですね。

つぶらな瞳は何をおもっているのでしょう!

つぶらな瞳は何をおもっているのでしょう!

牛小屋の隣りには、ワンちゃんがつながれていました。このワンちゃん、りんごを食べても芯は残すんですか???さすが、りんごがたくさんあるところは違います。そのくらい、売れないりんごがたくさん出るのです。《私だったら、喜んでそういうりんごでいいんだけれど!》

後日談:この日は次の日の収穫祭の準備で、牛さんに餌をやる時間が遅くなりました。
餌をやりに牛小屋にいってみると、子牛が脱走した後でした。柵を壊して脱走。あまりにお腹が空いて、自分で餌を探しに出かけてしまいました。足跡は、そこ ここ、近くの畑で食事中だったそうです。しかし、この子は大河原さんの息子さんがはじめて植え付けをした「ニンニク畑」を踏みつけていったのです。まだ、 植えたばかりでか弱いニンニクの芽は踏まれてしまい、残念なことに。実は、これまで、地域の農家の間では夫々につくってよい作物、と、つくってはいけない 作物が、家毎に決められていたのだそうです。いまは、農業を廃業した人が多く、その縛りがなくなり、大河原さんの家では、はじめてのニンニクの作付けだっ たのです。それでも、牛に対してのおおらかな心がその話され方から伝わってきました。自然と、動物と大地と一緒に生きていくと、全てに本当に優しくなれる のかも知れません。

31日(土)は「えすぺりの収穫祭」です。

何と、この同じ日に、左手には《大きな収穫祭》、右手にも《大 きな収穫祭》、いずれもJAとか町が主催の催しです。それなりに名の売れた歌手が目玉のイベントとして夫々、呼ばれて来ていました。その谷間で、小さな有 機農業者が一生懸命に育てた、美味しい有機野菜で収穫祭を企画しました。震災、原発事故から5年、大手が道の駅、お店を開店して直売所をはじめています。 小人が大男に立ち向かうようなものです。
今回、ひしひしとそれを体感しました。
有機野菜のファンを増やし、安全・安心・美味しさ、それより他に手立てはありません。それには、どこまでも誠実であること。そこに、人々は集ってくるのだと思いました。

《収 穫祭》開始時刻になっても閑古鳥です。お店の中は一寸、沈んだ空気。「自分たちで楽しみましょう!」と言っても、やっぱり淋しかったです。それでもお昼頃 になると、心にかけてくださっている人達が次々に訪ねてくださいました。そして、準備した食べ物は、人々の胃袋の中に姿を消していきました。嬉しかったで す。

豚汁作りのお手伝い

豚汁作りのお手伝い

あったまる〜〜!

あったまる〜〜!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一つ、手料理を求めて、あったかい『豚汁』の椀を両手にそっと包んで、小走りにお店の前の道路を右左確かめてお向かいの「公営団地」に入っていった中学生くらいの男の子の背中が、喜んでいたのが印象的でした。
お向かいの団地には、葛尾村からの避難者も復興住宅への入居として入っている人もいるときいています。福島第一原発事故のために4年間避難所、仮設住宅で 困難を極めた生活を過ごして来られ、5年目にあたらしい出発をはじめれ、馴染みのない地域で新しい人間関係をつくっていくことは結構エネルギ—が必要で す。
「えすぺり」がそういう人々のほっとできる「いこいの場」ともなることができることを願っています。

私たちは、「えすぺり」のコーナーでアロマハンドトリートメントを提供しました。

「私 は、いいわ」と言っていた人もトリートメントをしてもらった人の「凄〜〜く、気持ちいい。疲れがス〜〜〜ッと抜けたみたい。軽くなった!やってもらいなさ いよ!」との言葉に、私たちへの心遣いのために、「じゃ」と手を差し出した人の顔が和んでいき、「こんなに手が疲れていたって気がつかなかった!」と嬉し い反響 でした。

6-06

有機農業のファンの方々とのこころ暖まる収穫祭でした。

《福島に太陽光パネルを》
大河原さん夫妻は《お日様の力で電気を自給する自然に寄り添った暮しを福島からはじめ広めたい》と。
https://motion-gallery.net/projects/solaris-fukushima

(週刊金曜日1026号の記事・大河原さん)副島から暮しを変えるプロジェクト

(週刊金曜日1026号の記事・大河原さん)
副島から暮しを変えるプロジェクト

次回のツアー日程:11月27日(金)28日(土)
野上幸恵